座談会御書講義

座談会御書「曽谷殿御返事」講義(2026年6月度)

白馬のなくは我らが南無妙法蓮華経のこえなり。この声をきかせ給う梵天・帝釈・日月・四天等、いかでか色をましひかりをさかんになし給わざるべき、いかでか我らを守護し給わざるべきと、つよづよとおぼしめすべし。

白馬がいななくのは我らが唱える南無妙法蓮華経の声である。この声を聞かれた大梵天王、帝釈天、日天、月天、四天王等が、どうして色つやを増し、輝きを強くされないはずがあろうか、どうして我らを守護されないはずがあろうかと、強く思われるべきである。

背景と大意

今回、みなさんと学んでまいります「曽谷殿御返事」は、日蓮大聖人が58歳の時、身延の地で著されたお手紙です。

お手紙をいただいたのは、曽谷道宗という方で、曽谷道宗は、かの有名な大聖人の中心的門下である曽谷教信の子息です。

父・曽谷教信は現在の千葉県あたりで大聖人の門下として活躍した人物で、教養と学識が大変深く、経済的にも裕福で、たびたびご供養をされていた、大聖人からの信頼も際立って厚い人物でありました。

その父の薫陶を受けた道宗もまた、大聖人への供養を怠らない信心の厚い門下です。

当時の日本は、蒙古による再びの襲来が憂慮されており、人々が不安の中で生活を送っていた時代です。

そのような情勢の中にあって、曽谷道宗は大聖人へ「焼き米二俵」の供養を送ります。

大聖人はこの道宗の信心をたたえられ、困難な時代の中でいかに信仰者として生きていくべきかを語りかけられたのが本抄です。

本抄は別名を「輪陀王の事」といい、御書の中で、輪陀王と白馬にまつわる故事が引用されていることからつけられた別名です。

本抄の全体的な内容は、南無妙法蓮華経のお題目を唱えることの偉大な力と意義を教えてくださっている御書です。

今回の拝読御文は、そのお題目の声が諸天善神の守護を呼び起こすことを、白馬のいななきという印象的な譬えをもって示されています。

どんな逆境にも「勤行・唱題によって諸天を揺り動かせ」という激励ともなる一節を、ともどもに学んでまいりましょう。

解説

まず拝読御文の前段として、大聖人は本抄において「輪陀王と白馬」の故事を引かれています。

これが本抄の別名「輪陀王の事」の由来であり、今回の御文を正しく読み解く上でも欠かすことのできない背景です。

昔々、インドに輪陀王という王がおりまして、この王は白馬を大切にしており、その白馬は白鳥を見るといななくという習性を持っていました。

輪陀王は多くの白鳥を集め、白馬のいななきを聞くことで力を得て、国は栄え、天下は安泰を保っていました。

ところがある時、その白鳥が一斉にいなくなってしまいます。

白鳥を見なくなった白馬は全く鳴かなくなり、輪陀王は力を失い、それにともなって国力も衰え、天が曇り、地が揺れ、大風・干ばつ・飢饉・疫病が蔓延し、ついには他国からも攻め込まれる始末となってしまいました。

途方に暮れた輪陀王はあちこちに祈祷を依頼しますが、まるで効果がありません。

そして最後に馬鳴菩薩と名乗る菩薩が現れ、三世十方の諸仏に祈りを捧げると、白鳥が戻り、それを見た白馬が再びいななきました。

白馬のいななきを聞いた輪陀王は力を取り戻し、国は再び栄えた、というのがこの故事の内容であります。

この故事を受けて大聖人は「白馬のなくは我らが南無妙法蓮華経のこえなり」と仰せになりました。

輪陀王の国を最終的に救った決定打は、白馬のいななきであり、白馬のいななきそのものが輪陀王に力を与えた直接の原因であります。

同じように、私たちの南無妙法蓮華経の唱題の声こそが、諸天善神を奮い立たせ、一切の状況を打開する、最後の決定打になるのです。

続く御文に「この声をきかせ給う梵天・帝釈・日月・四天等」とあります。

大梵天王、帝釈天、日天、月天、四天王とは、仏法を護る諸天善神の名前です。

白馬のいななきを聞いて輪陀王が力を得たように、私たちの唱題の声を聞いてこれらの諸天善神もまた力を増す。

いかでか色をましひかりをさかんになし給わざるべき」との仰せは、お題目によって、諸天善神の色つやが増し、輝きが強まる、つまりさらに守りが厚くなるということであります。

最後に「いかでか我らを守護し給わざるべきと、つよづよとおぼしめすべし」とあります。

「いかでか〜ざるべき」とは「どうして〜しないはずがあろうか、必ずそうなると確信せよ」という意味です。

諸天は必ず守護する、と「つよづよとおぼしめすべし」との仰せの通り、絶対的な確信がなければなりません。

守護してもらえるかどうかわからないという弱い祈りではなく、主体的に、力強く、「つよづよと」と唱え抜く中でこそ、諸天善神が大いに働く。

信心の強弱によって、その守りの強さが変わるのです。

池田先生はつづっています。

「題目の声を響かせるところ、梵天帝釈をはじめ諸天も光を盛んにして、我らを守護しないわけがないと、ご断言である。どんな逆境に臨んでも我らには題目がある。全同志が『自他彼此の心なく』と題目を唱えゆく恐れなき前進に、諸天の旗も色冴えて、『人間革命』そして『立正安国』の大光はいやましていくのだ」

まとめ

私たちを取り巻く環境が厳しく変わることで、ある日突然、白鳥がいなくなってしまうこともあるかもしれません。

しかし、白馬のいななきのような力強い題目を唱え続けることで、必ず諸天善神の色がまさり、一切の守護が動き出します。

絶対に諸天善神に、護らせてみせるという強い祈りこそが、全ての戦いの出発点です。

さあ、白馬がいななくような颯爽とした勤行・唱題から全ての戦いを起こし、今日も人間革命、立正安国の戦いへ、恐れなく前進してまいりましょう。

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