ONE GOSHO

【ONE GOSHO】上野殿御返事

仏になりやすき事は別のやう候はず、旱魃にかわけるものに水をあたへ・寒冰にこごへたるものに火をあたふるがごとし

仏にたやすく成る道は、別なことではない。旱魃(水不足)の時に喉が渇いた者に水を与え、寒さに凍えている者に火を与えるようなものである。

背景

この御書は、日蓮大聖人が59歳の時、若き青年部であった南条時光にあてられたお手紙です。

時光自身、不当な重税をかけられて経済的に大変厳しい状況でありました。

困窮していた時光でしたが、大聖人に白米や芋などのご供養を届けます。

大聖人は深い感謝を込めて、「尊いことです、尊いことです」と時光を賛嘆され、功徳の大きさを仏典を通して教えられます。

この御書は別名を「須達長者御書」といいます。

残り僅かな食料を仏弟子に供養した須達長者が大長者になった故事を通して、法華経の行者に供養する功徳の大きさを示されているからです。

解説

「創価学会は、人材の城を築け」とは、戸田城聖先生の厳命です。

人材を育てるには、必要なときに、必要な指導がなければなりません。

時を逃さず、的確な指導をするためには、時間と労力を惜しんではいられません。

今回の範囲の直前の御文には、「人がものを教えるというのは、車が重かったとしても油を塗ることによって回り、船を水に浮かべて行きやすくするように教えるのである」(通解)とあります。

車輪が重いのに、油もささずに無理やり回せば、壊れてしまうでしょう。

大声をあげたり、押したり引いたりしても、うまくはいきません。

油が必要な時、必要なところに使う。

人にものを教えるということは、それと同じだとの仰せです。

人材育成は相手の立場に立って励ますのです。

「この人の抱えている悩みを軽くするためにはどうしたらいいか」

「どう励まし、何をしてあげるのが一番だろうか」

と、どれだけ心を砕けるかが勝負です。

今回の範囲の御文では、「旱魃に遭う人に水を、寒さに凍える人に火の温もりを与える」との譬えで、相手の状況に合わせることが肝要であると強調されています。

そして、「仏になりやすき事は別のやう候はず」とある通り、この実践こそがまさに仏道修行そのものであるとされているのです。

一人ひとりの状況に合わせた励ましがなければ、人材育成も広布拡大もあり得ません。

メンバーに誠心誠意尽くすという、真の人材の闘争によって「人材の城」は築かれるのです。

池田先生は「一般論で言っても、尊敬は尊敬を生む。軽蔑は軽蔑を生む。自分が変われば、相手も変わる。人材育成にしても相手を『必ず立派な人材になる人だ』と、まず信じて、尊敬してこそ成功する」と語っています。

まとめ

学会の伝統は、メンバーを心から敬い、自分以上の人材に育て上げることです。

そして人材を育てる人こそ真の人材です。

我々は今こそ真の人材となって、「メンバー一人ひとりに必ず大功徳を」との大情熱で、ともに祈り、ともに行動し、ともに弘教に挑むとき。

「伝統の2月」を絶対成長の2月にするべく、わたくし自身も唱題根本に、目の前の一人を救うために尽くしぬいてまいります。

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